奈良教育大学 国際交流留学センター

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海外の協定大学で学ぶSTUDY AT FOREIGN PARTNER UNIVERSITY

滞在記

リヨン第三大学 新美瑛さん【2017年8月~2018年7月】

 留学先で調査していたことの一つに、フランスにおける外国語学習(習得方法や授業等)を調べました。そもそもこれを調べようと思った経緯として、僕が日本の英語教育に関して疑問を強く感じており、フランスでは英語や日本語を始め外国語の教え方はどうあるのか、ということに興味を持っていることにありました。具体的に調べた方法や内容は、現在リヨンの高校で外国語を教えるドイツ語(ドイツ人)とスペイン語(ベネズエラ人、メキシコ人)の先生計3人から、授業や教え方の方針と各言語における教える際の課題を聞きました。

 まず、ドイツ語の先生の授業方針は、授業は基本ドイツ語で話、ドイツ国内の文化や政治を主な授業のトピックとしつつ、クイズやビデオなどで生徒の興味を引きつつ、文法や単語も教えるという形で授業を進めます。

 次に、両言語を教える際の課題点を聞きました。これはこの調査で最も注目した部分です。ドイツ語はそもそもゲルマン系の言語であり、ラテン系の言語であるフランス語とは語彙の発音方法や構成などは非常に異なります。日本の英語教育にも共通して言えることですが、発音ができないと恥ずかしくて話したくない、または自分の語彙レベルが低いと文を作ることすらできないので話すことができない、という理由でオールドイツ語の授業であっても母国語のフランス語で話してしまう生徒もいます。それがクラス全体の授業の質を下げてしまっているのは否定できないそうです。

 次に、スペイン語の授業における課題です。スペイン語はドイツ語とは違い、フランス語と同じラテン系の言語です。ほとんど同じというわけではありませんが、語彙の面では比較的類似している単語も多く、「スペイン語は字面だけでなんとなく意味はわかる」というフランス人の友人も複数います。そんな、フランス人にとっては比較的文法の語彙も習得しやすいスペイン語も、「R」の発音の違いが大きく、それが授業時の課題だといいます。

 例えば、「準備」などの意味を持つ preparation という単語。この単語はフランス語スペイン語共通の綴りですが、「R」が二つ存在し、先生がスペイン語で発音した際に生徒が単語を理解できなかったそうです。それを一人の生徒が「どういう意味ですか」とし質問し、フランス語で答えたときに通じた、つまりRの発音だけで変わった、というのを聞きました。

 これらの課題に共通している「発音」の問題。いくら文法が似ていて文法面では完璧だとしても通じなければ習得したとはいえません。日本の英語教育においても発音はかなり重要であると考えています。特に、いわゆるカタカナ発音で話す日本人は、日本人同士が英語で話す際は通じ合ったとしても、「国際言語としての英語」としては通じないわけです。例えば「L」と「R」の発音です。「日本語には【ら】行しか存在しないから両方同じだ」という日本人がいるが、そもそも「L」も「R」も「ら」の発音ではありません。語族から何から全く言語系統が異なる日本語を母語にする日本人への英語教育及びいかなる外国語教育においても、フォニックスや特徴的な母音など基本的な発音方法を教え、少なくとも初めて耳にする単語でも、なんとなく綴りが頭に浮かぶ程度には発音は定着させる必要があると考えます。

 2020年から英語教育がオールイングリッシュになりますが、上記のドイツ語の授業課題のように、授業中に日本語で話す生徒は必ずいるでしょう。解決案の一つとして、クラスを習熟度別にし、その生徒たちにあったレベルの授業を提供していく必要があると思います。教師の授業準備の負担など、この案にも課題はありますが、メリットとして、似た語彙レベルの生徒がいるので、授業に置いてけぼりになる生徒が減る。簡単な英語レベルでも理解できる可能性が高まり、それぞれのレベルに合わせた動機付けができる。また高いレベルのクラスならより英語のレベルも高く、オールイングリッシュとしての授業の質をさらに高めることができると考えます。

 以上が、フランスで調査した外国語教育の課題と、それをふまえての日本の英語教育の方針の提案です。

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